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山内視弘お絵描き躁鬱人生

日々の出来事、闘病記、絵の事などをのんびりと。

絵と私⑥

絵と私、6回目。今回は社会人になってから。

 

大学を卒業し、実家に帰省した僕は親に就職するように言われ、就職した。同時に「絵を描くことをやめろ」とも言われた。理由は「絵を描くとまた心の調子を崩しそうだから」だそうだった。最初はもちろん反発した。しかし、家族全員に「描くな」と言われたので、なかなか肩身が狭く描くことをやめざる終えなかった。

絵を描くのをやめ、仕事を始めたが全然うまくいかない。結局、短期大学を卒業し、絵をやめてからの一年間の間に3つほど職を転々とした。

職をやめるたびに家族からいろいろと小言を言われていたが、回数を重ねるうちになんだかどうでも良くなっていった。同時に、それまで家族から反対されていた絵も、また始めてみようと思った。

そして、卒業以来、約一年ぶりに筆を持つ。結果は、まあ、かなり感覚が鈍っていた。一年でここまで描けなくなるものなのか、と、かなりショックだった記憶がある。でも描かなきゃ感覚は戻らない。とりあえずコンスタントに続けようと小さな目標を決め、毎日取り組んだ。

 

 

再び筆を持って数か月がたったある日、あれは確か2015年の7月くらいだったか。丁度それまで付き合っていた彼女に振られたころ。今後の人生を決めるお告げのような夢を見た。

 

僕は自室にいた。ひたすら自分の部屋で絵を描いている夢。ただ黙々とガリガリ絵を描いている。そこに誰かが部屋に入ってきた。その人物はミュージシャンの椎名林檎だった。僕はかなり驚いていた。そこで椎名林檎が僕の絵を見て一言。

「君は絵がお上手ね。このまま描き続けなさい。そして人に見せなさい」

そう言って、彼女は僕の部屋から出て行った。

 

そこで目が覚めた。びっくりして目が覚めた。何だったんだあの夢は。何かのお告げか。いろいろ考えた、でも迷いはなかった。なんだか、理屈ではない信じてもいい夢のような気がした。

「僕は画家になろう」

その夢を見た、その日に、僕は決意したのである。

 

 

そこからは、絵に向かう姿勢がかなり変わった。とにかくたくさん描いて経験を積まねば、と。そのときは飲食店でフルタイムでアルバイトをしていたが、空いている時間にとにかく絵を描くようにした。

画塾にも通い始めた。バイト先が結構給料がよくお金に少し余裕があったので、自分への投資という事で毎月月謝を払い、デッサンをしに行った。とてもデッサンがへたくそになっていたが、あまり落ち込んだりはしなかった。むしろ、「今は下手でもこれからずっと続けていくのだから伸びしろはあるはずだ」と前向きにとらえた。

一番変わったのは絵についての思考だ。大学の時は卒業制作などでコンセプトやらテーマやらをねったりしていたが、何かの物まねのような、とってつけたようなものばかりだった。しかし、また絵に本腰を入れ始めてからこの点は明らかに、変化した。まず、自分を深く、より深く探ってみた。自分が絵をやり始めたルーツや興味があるもの、とにかく掘り下げまくった。これは就活で行われるような自己分析なんて生半可な物ではない。徹底的に自分を追い詰め、そして掘り返す。途中何度も鬱になったりした。だけど、ここが一番重要な部分だとわかっていたので、やめなかった。たぶん一生自分のすべてなんてわかる日なんて来ることは無いんだと思う。だけどやめちゃいけないんだなあ、と思ったからだ。毎日考え続けた。そしたら自分にとって、揺るぎの無いテーマが見つかった。

考えも変わった。それまではとにかくうまい絵を描こう描こうと思っていた。だけどある画家の個展を見に行った時から考えが逆転した。その画家は、滅茶苦茶うまい写実画を描いたり高等技術を持っているわけでもない。でもその人の絵を見ていると、なんだか言葉にできない自分の中の悲しさだとか、嬉しさとかに直に訴えかけてくる何かを感じた。そこからだ。うまい絵がすべてじゃないんだ、と考えるようになったのは。その画家は、僕の目標であり、師匠(勝手に)でもある。

そのようなことを僕は毎日続けた。すべては画家であるために。

 

 

現在、僕は宮城県仙台市に住んでいる。

当然、絵は描き続けているし、毎日絵の事を考え続けている。2017年の春には僕の初となる個展、グループ展がある。仙台に引っ越して来てからすぐに予定を立てたのでもう一年近くなるな。とても楽しみ。最近は絵以外にもやれることをどんどん増やしていこうと思っている。焦らず、少しずつ。たまに「絵を描いてます」「画家です」と言うと馬鹿にされたりするけど、そんなの関係ない!って頑張れる。貧しい生活だけど、自分が信じれることを続けられる、これだけで大満足。そのためなら貧しくても仕方ない!って思える。でもたまに贅沢もしたいけどね。

 

絵と私。これで終了。また絵については機会があったら書こうかな。