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山内視弘お絵描き躁鬱人生

日々の出来事、闘病記、絵の事などをのんびりと。

絵と私④

絵と私、4回目。今回は短期大学時代前半。

 

美術短期大学に入学し、僕は美大生になった。肩書だけはかっこいいが、勉強をろくにできないやつが美大生になるわけで、実際は大したもんじゃない。

無論、僕もそのうちの一人だった。

入学したての頃は何をしたらいいのかわからなかった。もともと美術が好きで美大に来たわけではなく、単純に絵が好きだったという理由で入学したので何を始めたらいいのかなんてわかるわけがない。いろいろ考えたが、もともと考えたり計画を立てたりすることが苦手なタイプの人間だったので、とりあえずサラサラとラクガキを量産していた。同時に、なんとなく「年上の人たちと関わらなくてはならないのだ、大学っつーのは」と感覚的に思ったので先輩と思われる人に片っ端にコミュニケーションをとった。それが良かったのだろう、入学して数週間して、仲良くなれた先輩方から「美大ではこんなことをするんだよ、だからこういうことを勉強した方がいいよ」といろいろ教えてもらえた。

とりあえず僕は現代美術に興味をもった。もともと古典的な美術が古臭い感じがしてあまり好きではなかった。図書館でいろんな作品集を見て、自分的にビジュアルとしてとっつきやすいものを探した結果、現代美術にたどり着いたのだ。そこから現代美術に関する本をぼちぼち読んだりして、重要そうな部分をノートにまとめて家で復習し始めた。「ふむふむ、現代美術はコンセプトが大事なのか」「現代美術と現代アートコンテンポラリーアートはそれぞれ似ているようで違うものなのか」などいろいろわかった気になって勉強していた。

 

そんな感じで過ごして、大学の実技課題が始まった。まずデッサン。石膏像のデッサンだった。僕は石膏デッサンが好きだった。理由は人体を描くことが好きだからだ。だからちょっと自信があった。さっそく授業が始まる。みんな静かに慎重に描き始めている。僕はというと、とても落ち着きのない描き方をしていた。何度も席を立ったり、ガタガタ音を立てたり、周りからしたら迷惑極まりなかっただろう。(この落ち着きの無さは今でも変わらない。)だけど描き進めるスピードは周りよりも早かった。だからなんなんだって話だけど。そして講評会。結果から言うと僕はクラスの中では中の中の上くらいだった。喜んでいいのかわからない微妙な採点だった。ああ、悔しい。

次は粘土造形の実技課題。煉瓦と荒縄を組み合わせ、それを粘土でそっくりに作るというものだった。この時、彫刻的なものは一度もやったことがなかった。だけど、自信はあった。理由は僕はプラモデルや工作を作ったりすることが昔から得意だったからだ。早速始まる。周りを見てみると皆、不器用に手を動かしている。僕はというと、自分で言うのもなんだが、かなりテキパキと進められた。教授が一人一人にアドバイスをして回っていたが、僕には特に助言をしなかった。そして終了の時間。講評会が始まる。一度、学生は教室から退出させられ、その間に教授が評価の高い学生の作品に丸を付けるという評価方式だった。採点が終わり、皆、教室に入る。そして自分の作品を見に行く。僕も自分の作品を見に行った。丸がついていた。赤丸が。教授からお褒めの言葉「非常に完成度が高いですね、何か彫刻の経験は?」皆ぞろぞろと僕の作品の集まってくる。デッサンの時と違ってベタベタに褒められて、僕はとってもハッピーな気持ちだった。

上の通り、僕は平面よりも立体が得意で強かった。でも、やっぱり絵を描くことが一番すきだった。だから自主制作はほとんど平面しか創らなかった。

 

一年生後期、コースわけが始まる。僕の通っていた美大は、いくつかあるコースから3つ選択し、その中から最終的に1つにコースを絞るというシステムだった。僕は結構迷った。僕は陶芸、鋳金、絵画の3つのコースを選んでいた。絵画以外、立体造形で、評価もよかった。でも僕は絵画を選んだ。絵が好きだという事で選んだ事ももちろんだが、3つのコースの演習を受ける際、絵画だけ、自分の中で向かう姿勢が違ったからといことがあったからかもしれない。

最初の絵画演習は自分の評価としては最悪だった。初めて絵画らしい絵の具の使い方を習った。「では、静物着彩を始めましょう」の教授からのGOサイン。立体の時と違い、どうしたらいいかわからなかった。とりあえず描き進める。どんどん色が濁っていく。画面が汚くなっていく。もう泣きたくなった。それで提出。あの時はひたすら死にたかった。そこから僕は着彩絵画の練習をした。農家の親戚から送られてきたリンゴや家にあったコップなどをひたすら描いた。しかし目立った上達を感じられない。だけど踏ん張った。上達を感じられないまま、絵画コースに所属が決まり2回目の演習がスタートする。課題は自分の自画像と静物着彩。絵の具は油彩かアクリル絵の具を使用するという条件だった。僕は、自画像は油彩、静物着彩はアクリルで描くことにした。目立った上達を感じていなかったので不安でいっぱい。でも描きだすしかない。もうどうにでもなれ!という気持ちで筆を走らせた。

やはり周りと比べると進行スピードが早い。皆3~4割くらいの時、僕は6割ぐらい完成していた。だけど、なんだか納得いかない。画面になんだか違和感を感じていた。我慢できなくなって、それまで描いていた画面を白に染めた。そしてまた、ゼロからスタート。

合計3回くらい白で塗りつぶしただろうか。演習も終わりが近づき、皆、最後の描き上げに入っている。僕はというと、またゼロから描き始めていた。教授からはさすがに「大丈夫?完成できそう?」と心配される始末。僕は「完成させます」と答えた。もう追い込まれていた。でも妥協は出来なかった。そこからはもう必死。飯も食わないでぶっ通しで描く、描く、描く。考えている暇もない、ひたすら手を動かした。皆が帰ってからもガリガリと筆を走らせた。

講評当日。壁にみんなの作品が並べられる。僕はみんなと自分の作品を見比べた。

客観的に見ても周りよりもかなりうまく描けてた。教授からも「最初の演習の時よりも格段にレベルアップしている」とコメントされた。

この時、初めて絵画の上達を実感することができた。

 

同時に、前よりも、より絵が好きになった。